下川公一下川 公一
(しもかわ こういち)

略歴

1968年 九州歯科大学卒業
1991年 日本歯科医師会学術研修セミナー講師
1991年 九州歯科大学口腔病理学非常勤講師
九州歯科大学臨床教授

近未来の歯科医療 ―その傾向と対策―

21世紀も16年が過ぎた今、歯科医療は大きく変貌を遂げようとしている。情報化社会の中で、ますます多様化し発展する医療技術と、よりレベルの高い治療効果を期待する患者さんのニーズに答える為には、旧態前とした20世紀型の歯科医療では到底対応する事ができない時代となった。

一方では更なる歯科医師過剰が進行する中で、患者さんによる歯科医院選択型の時代が到達したといっても過言ではなく、一般歯科開業医に対して、より質の高いインフォ―ムドコンセントを前提とした責任ある歯科治療が求められている。今開業医はそれらの様々な諸問題に対応すべく、情報システムの確立と、衛生的で清潔な歯科医院をアピールしながら、競争社会の中で生き残りを賭けて企業努力を余儀なくされている。

国民皆保険の名の下に行われてきた治療中心の医療から予防へと変わりつつある一方で、再生医療・審美歯科治療・インプラント治療といった高度な知識と技術を必要とする先進医療にも急激に患者さんの期待感が高まって来ている。

患者さんの歯科治療に対する希望は実にはっきりしている。「より美しく快適に、よく咬めて丈夫で長持ち」これらの言葉に尽きる。これらの条件を全て満たしてくれるのであれば、ほとんどの患者さんは是非治療をお願いしたいと思っている筈である。しかしながら、一般開業医としてはその予算が限られて来ると、理想とは遠くかけ離れたものとなる。我々は今正に歯科医療・技術革命の真只中で、一般開業医としての生き残りを賭けた、厳しい現実への対応を迫られている事を自覚して、歯科医療の運営をして行かなければならない。その為には、歯科医自身が経営者として医療人としての自らの意識革命を行いながら、患者さんに対しては分かりやすい医療を提供していく姿勢を示す必要がある。

現在地に開業して43年が過ぎた今、過去に行ってきた自分自身の臨床を総括しながら、新たに取り組み始めた当医院の歯科医療体制を紹介し、近未来を見据えて、私の考える21世紀型の歯科医療について、その傾向と対策を語ってみたい。

【講演項目】

  1. 情報化社会でのインフォームドコンセプト
  2. 継続受診とメインテナンスの確立
  3. 保険診療の質と採算性
  4. 再生療法の可能性
  5. 審美歯科の可能性
  6. 団塊の世代と若返歯科
  7. 咬合治療と顔貌の変化