中野喜右人水口 稔之
(みずくち としゆき)

経歴

日本大学松戸歯学部卒業
日本口腔インプラント学会専門医

既存骨が少ない難症例に対する低侵襲骨造成

骨造成においてメンブレンの設置は不可欠と思われてきたが、幾つかの論文ではノンメンブレンでの骨造成が有効であることが示唆されている。
また、近年ではチタンメッシュによる骨造成も多く報告されてきた。チタンメッシュは骨造成時に重要な条件である「外圧遮断」を行えるからである。 しかしながら、粘膜内に異物が入ることで血流が妨げられ、さらに骨膜からの骨芽細胞の侵入を妨げる欠点もある。
そこで、メンブレンもチタンメッシュも使用せずに、粘膜外での「外圧遮断」を行う方法での骨造成が有効と考えられる。
また、骨補填材は様々であるが、他の部位を傷つけず、感染の心配もない人工骨のみで良好な結果が得られれば最も臨床的と言える。
そこで、「No membrane No bio graft material」というコンセプトで骨造成を行い、良好な結果が得られたのでご紹介したい。

もう一つのトピックスとして、「Bigcap technique」を紹介する。審美領域でのフラップレス抜歯即時埋入は「同時に骨造成ができない」「軟組織を増やす機会がない」などの欠点を有するが、もしその欠点が解消されれば、「周囲組織の形態を維持しやすい」「手術時間の短縮」「手術回数の短縮」「患者の侵襲の軽減」「治療回数と期間の短縮」などの利点において有利な方法と言える。

今回、フラップレス抜歯即時埋入の欠点を排除した新しい方法を紹介する。
さらに通常クレスタルアプローチは既存骨が5mm以上必要とされているが様々な工夫で1mm以下でも可能にした新しいクレスタルアプローチの手法もご紹介する。